「ウインド・トーカーズ」

ちょっと前ですが、仕事で試写をみる機会があって、公開前ですが
「ウインド・トーカーズ」を観ました。
そう、ジョン・ウー監督、ニコラス・ケイジ主演作ですね。
公開前という事で、これから観たいという人には参考になるかもです。
でも、ちょっとネタバレもあるかも知れないんで、何の先入観
を持たずに観たい人は飛ばしてください。

舞台は第2次世界大戦中の1944年のサイパン。アメリカ人が主役
なので、当然敵は日本兵。映画の中でもバリバリにやられ役として
沢山出てきます。

ストーリーは、サイパン島奪取のため、アメリカ海兵隊サイパン
上陸するという話。絶対に解読されることのない暗号として、
文字を持たないナバホ族の言語を暗号とするため、部隊にナバホの若者が
配属される。そのナバホの若者の護衛として配備されるのが
ニコラス・ケイジという設定になっている。

ナバホ暗号というのは史実らしく、何よりも暗号を送るためのナバホの
若者の命を最優先させる。という、映画上のルールはなかなか良いと
思った。二人一組でないと機能できないという枷も、なかなか良い
フックだと思った。

しかし、この映画、ずっと観ていても第2次世界大戦の映画という
印象はかなり薄かった。多分ジョン・ウーは、アメリカにも日本にも
ナバホにも何の思い入れがないのだろうという事が、ありありと判った。
設定は第2次世界大戦になっているが、別にその時代の話である必然性
は感じられなかった。
とにかく、火薬の量はハンパじゃないのだろうけど(後、制作費も)
「あー、ドンパチがやりたかったんだな」という印象しか残らなかった。

歴史の掘り起こしという意味での、ナバホ暗号なんかもただの設定に
終わっていて、それを活用することも無かった。
ナバホの顔が日本人に似てる、という強引なシーンも日本人からは
説得力が見えなかった。

時代背景、設定、そしてそれが巻き起こす葛藤。そういうものに何の
思い入れのない、中国人の監督が作ったからそうなったのであろう。

採算性の最も悪い、歴代の映画のトップ10に入ったというのも
頷ける作品でした。