「殺人の追憶」

弟弟子のSJが最もお薦めだということで観賞。
1980年代に韓国で実際に起こった未解決事件をモチーフに、連続暴行殺人犯を追う刑事たちを、当時の世相と共に描いた作品。


以下、ネタバレ注意!!


最高傑作というのはちょっと言い過ぎだが、なかなか良く出来た刑事物だった。田舎の中堅刑事と、都会から来た若手刑事の相反と、進展してそうで進展してない捜査の状況を丁寧に描いている。
若手刑事とちょっとした邂逅する女子中学生が犠牲になるシーンは、いい意味での「嫌な感じ」がうまく出せていたと思う。
実際の事件が未解決なので仕方が無いところだが、結局犯人は捕まらない。捜査は丹念にしているし、犯人に近づくアイデア(ラジオでのリクエストなど)も面白いものはあるが、それが結局犯人に近づけたのかどうかは藪の中なのだ。そこら辺が、犯人確定のカタルシスを与えてくれない刑事物としては、もちろんそれが作品のキモなのは解かるのだが、うーんと考えてしまうところ。
だけれども、この作品の一つのテーマというか重要なファクターである「顔」というキーワードが、最後の少女の「普通の顔だった」というセリフで全て昇華されるカタルシスはかなりのモノだった。