「ホテル・ルワンダ」

公開初日、初回を観ようと渋谷のシアターNに行ったらもう長蛇の列。初回はもう観れないとの事で、2回目の整理券を購入して時間を潰すことに。NHKでも取り上げてたし、劇場が小さいこともあるけど、こんなに人が集まっているとは思わなかった。雨も降ってきたし。


以下は作品の感想。ネタバレもあるので、未見の人は注意。一応ネタバレは無いように書くけど。


ルワンダ大虐殺」が始まり、主人公のドン・チードルがホテルに虐殺の対象ツチ族をかくまい始める流れは良い。テンポ良く進む。国連軍が結局、白人たちを救出して後は放ったらかしにする所ぐらいまで、危機の連続で悪い方への転がしも見事だ。
難点を言えば、後半はほぼドン・チードルが直接関与出来ない問題解決が進むとこら辺で、主人公の存在感が薄れていくところだが、実話であり、当然一ホテルマンが政治を動かすわけで無いので、逆にリアルなのだが。
とにかく、役者をドン・チードル推したのは制作人の勝利だな。あまりに普通の人で、とにかくリアル感がある。
残虐描写を極端に抑えた演出にしたそうだが、時間的にまだそれほど遠い話では無いので、正解だろう。変に感動演出もしてないのも良い。
この映画は勿論、「ルワンダで起きた悲劇を知らしめたい」という思いが制作人にはあるだろうが、それよりも「同じような事があなたの身近で起きたとき、あなたはどう行動しますか?」という事を突き詰めている。
始めに主人公ポールが、自分の家族の安全だけを考えている事を非難出来る人はいないだろう。隣人たちを匿わなければならなくなった時の「厄介な物を抱えてしまった」という表情は、明らかに理解できる。
そして、「このような事は、どこでも有り得る話なのですよ」と言っているのだろう。何しろ監督は、北アイルランドの出身なのだから。


公開するための署名運動にも参加したが、その意義はあった作品だと思う。だが、逆に考えると、普通に公開していたらこれほど話題になったか、また観に行ってたかどうかは解からない。まあ、こういうのも縁だけどね。


それにしても、この映画館は狭いし、画面は下の方にあるし満席だとほぼ画面全部は見えない。前の男二人に声を掛けて、頭を下げてもらったけど、常に画面の1/4は見えて無かった。あっ、前の人ありがとうございました。