「夜を賭けて」

2001年の邦画。終戦から13年後の大阪の朝鮮集落が舞台の梁石日の同名小説の映画化。
大阪城公園内にあった、兵器工場の廃墟の中から鉄屑を盗んで来て、一攫千金をねらうのだが、やがて警察も締め付けを強化してきて…。
新宿梁山泊製作の映画なだけあって、逆にけれんみの無い在日像を描き出そうとしている感はあった。盗んで盗んで、酒飲んで酒飲んで、喧嘩喧嘩。それがエンドレスで繰り返される日常。抜け出そうとしても、結局はまた戻って来てしまう。だが、未来への閉塞感に襲われ、それから逃避する為に、今を生きる。そんなエネルギーが満ち溢れていた。
山本太郎は良い役者だと思う。猪突猛進タイプであり、思慮は浅そうながら、決してバカっぽくはない。それを表現をする術を知らないが、何が大事かはキチンと理解している。そんなキャラクターを見事に表現していたと思う。


小説は三部作で、実際奥田瑛二の役なんかは、続編への布石っぽいのだが、2008年現在そんな話は聞かない。
ヒロインの韓国人女優柳賢慶(リュ・ヒョンギョン)は向こうで着実にキャリアを積み重ねているみたいだね。