「ひまわり」

ソフィア・ローレンのかの傑作の方ではなく、行定勲監督の邦画の方です。
あらすじがかつて自分が書いた話によく似てたので、借りて観た。勿論、ザリガニ姫が主演ってのも惹かれたけど。
2000年の映画で、脇は北村一輝田中哲司堺雅人津田寛治光石研ひふみかおり土屋久美子っていう豪華さで、特に田中哲司堺雅人津田寛治あたりはこの当時まだまだ一般の認知は低かったはず。


導入はまあ良かった。ただ段々出てくる人間の距離感がおかしくなる。現在のヒロインの男性遍歴が語られて行くごとに、ヒロインの小学校時代しか知らない主演の袴田吉彦の存在感の希薄さが際立って来てしまうのだ。
ヒロインの謎の行動も、現在の問題に起因している。実は奥深いところでは、現在の問題も、過去の事象との連動が語られれば、主人公の置き去り感は緩和されていたと思うのだが…。靴を隠した話とかね。
主人公の中での空白の期間の補完は、付きつめて行ってもないしね。名前を聞いて、一拍あってから思い出す存在に落ちてしまっていたのだし、これが現在の河村彩との関係に陰を落としていたり、落としてなくても、主人公を語る上では不可欠だったりはしないしね。


後半は、ちょっと溜息。バーで、津田寛治光石研が「あの娘、魅力的でしたよね」とか語り合ってるのはどうかと…。お前らかなり遠い存在じゃん。津田寛治にいたっては、葬式前の一日の話だろ、いくら高校の同級生ったって。
落とし所としての、海岸のシーンも、何でいきなり青春映画願望があれだけ前面に出てくるんだ。極めつけは、北村一輝のあの叫び。政府も改正国籍法を通してる暇があったら、「海に向って『バカヤロー』禁止法案」を通してくれ。


いや、まあまあ良かったんだけどね。この映画を観た最大の収穫は、何故か「オグシオ」の潮田玲子が出てくるんだよね。粟田麗っていうんだ、この女優。知らなかった。
キチンと友達とバカ出来るけど、ちょっと仲間内ではしっかり者の、同級生なんだけど皆を俯瞰で見れるお姉さんキャラ。そんな小学校の同級生と再会したいもんだ。勿論、俺にそんな存在はいない。全員男だ。「真木栗ノ穴」観てみようかな。