「地獄の黙示録」

地獄の黙示録」が未公開シーンを加えてリバイバルされている。
この映画を観たのは小学生の頃で、記憶も定かではないし、新作を観るような
気持ちで観に行った。
この映画で記憶に残っていたのは、やはり「ワルキューレの行進」をバックに
ヘリコプター隊が爆撃するシーンと、ラストのマーチン・シーンとマーロン・
ブランドのやり取りだった。

映画が始まって30分、大爆笑の連続だった。「地獄の黙示録」とはこんな
に笑える映画だとは思わなかった。
それはロバート・ディバル扮するキルゴア中佐のエピソードだ。
とにかくこの人物はとにかく常識では理解出来ないトンデモナイ人物で
それ故に、あまりにも魅力的だ。
彼の頭の中には「サーフィン」しかない。正確に言えば、「サーフィン」
が何にもまして優先されるのだ。
例えば、ある村はベトコンの基地になっていて、近づくのは危ないと進言
され、中佐は躊躇する。しかし、他の部下から「村の近くの海の波は
左右に割れてるそうですよ」という事を聞いた瞬間、「総攻撃をかける」
と命令するのだ。
理由は勿論、「サーフィンにもってこいの波だからだ」
ベトナム人の命や、部下の危険よりも、彼にとって「良い波」が魅力なのだ。


物語はこの後、少しづつくらい話になっていって、最終的にカーツ大佐
との対決になっていくのだが、このカーツ大佐は、カンボジアで自分の
王国を創っているんだが、キルゴア中佐と比べると人間の狂気という点
では小さく見えてしまう。祖国に残してきた自分の家族に自分がどう
思われているのか、なんて事を心配していて、共感できるのだが、その分
魅力的ではない。

「人物の魅力とは、その人が持つ狂気に由来する」
その前の授業の時に聞いていた事が頭の中で蘇った。

映画の評価としては、カットされていたフランス人のエピソードなど、
今の時代に観るとまた違った見方が出来る。
キルゴア中佐に逢えた事だけで、まあ私と友人は満足した。
終わった後も、「魅力ある人物とはどういう人物か」という内容で
2、3時間考察できた事を最後に付け加えときます。