「突入せよ!あさま山荘事件」

今回も映画観戦記です。「スパイダーマン」と「突入せよ!あさま山荘事件
を観て来ました。
スパイダーマン」の方は今回は割愛します。邦画好きとしましては
「突入せよ!」の感想を述べたいと思います。ネタバレっていうものは
ありませんが、先入観無く見たい人は読み飛ばしてくださいね。

この映画ははっきり言って「エンターテイメント映画」になってます。
「エンターテイメント作品」は勿論最近の邦画でもあります。でも、
はたしてそれらは「エンターテイメント映画」なのか?と考えると首をひねり
たくなる物も多いです。つまり大画面で劇場で観るべき物なのか?という事。

内容に関しては、批判もよく見たり、耳にします。
確かに警察側からの一方的な視点だし、かなり主人公の佐々淳行はヒロイックに
誇張され過ぎてます。
学生運動を同時代として生きてきた人たちにとっては、警察礼賛の視点は
納得が行かない部分もあるだろうし、反発もあると思う。
事件当時まだこの世にいなかった僕もそれは感じました。

ただ、何故監督が一方的な視点を選んだか、ヒロイックに誇張したのか
は良く判ったし、その選択は正しいと思った。
カタルシスを得らせる為には、敵対する人物の内面を慮る事は必要ないし、
誇張せず、ただ史実に沿わせることが映画としての面白さを損ねるのであれば
事実なんて曲げても良いのだと思う。

それに、多分描きたかったのは事件の背景や、その時代の空気や、その時代
を生きた人たちの心情なのではなく、「対峙」という事象を描きたかった
のだと思う。今の日本で「対峙」という事象を描くと多分多くの人は鼻で
笑うだろう。切羽詰った対立軸が今の日本には存在しないから。それを
史実をいう説得力を持たせることによって、舞台をつくったのだろう。
今はその舞台をつくる事が作劇上難しい状況になっているので、その面
だけでも観るに値する作品だと思われるのだが。

観終わった後、隣のカップルは「つまんねー映画だった」と開口一番
呟いていた。確かに、エンターテイメント化することによって
ハリウッドの映画と同じ土俵に上がる事になり、そうすると見劣り
する部分はかなりあるのは事実であるとは思う。
ただ、「劇場で観た方が絶対にイイ」と言い張れる邦画は少ないので
これから増えていって欲しい期待を含めて、評価できる作品であった。