「マルホランドドライブ」

監督デビッド・リンチの「マルホランドドライブ」を観に行ってきました。
まあ「虎ノ門」なんかでとり上げられてたり、なにかと話題の映画ですな。
いつもの様に、なんの先入観も持たずに観たい人は読み飛ばしてください。
っていってもネタバレとかないんで、例によって戯言なんですが…。

最初に。「デビッド・リンチ作品は好きですか?」
「好き」と答えた人は観に行ってください。
「観た事ない」と答えた人は、1800円払う前にビデオ屋で「ロスト
ハイウエイ」を観てから、考えてください。
「嫌い」と答えたアナタは、やっぱり観ない方が良いでしょう。

感想を始めに言うと、「良くも悪くもデビッド・リンチ」でした。
私は「ツインピークス」「ロストハイウェイ」が好きな人間なんで(「ストレイト・
ストーリーは観る気しなかったが)、久々にリンチワールドに出会えて、満足
でした。
「よく内容が解からなかった」という感想が多いそうなのだが、はっきり
言って、そんなモノ求めるなよ。って感じです。
「アレは誰だったの?」って事を感じますが、答えは永久に出ないでしょう。
だって、監督の頭の中にしかないんだから。考えるだけ無駄です。

ただ、今回は何が言いたいかは良く出ていた。そこだけは今までのと違って
解かりやすい部分でしたね。
後は好き勝手やってますが。「アハハ、またやってるよ」って感じ。

ただ、ここから少し真面目な話をすると、デビッド・リンチがここまで
無茶苦茶な映画を創っていても、ちゃんと面白いと思わせる技術は何かという
事は明確に判った。

「フック」だ。

出てくる人物が何物なのかよく解からない、ストーリーも一本化しない
普通なら、観てる途中で飽きてくるか、乗れないと感じてしまい、もうどう
でもよくなってのだろうが、観客の心に「引っ掛かる物(フック)」を与えて、
ズイズイと先に引っ張っていく。その手腕が絶妙なのだろう。
これは難しい事だ。
ただ、それがあるからこそ、観た後にモヤモヤが残るが、ラストまで引っ張られ
た事で、満足感があるのだろう。
「とにかく、ラストまで観客の興味を引っ張っていく」
当たり前の事だが、それが本当に上手く出来ている事は少ない。
やり方は色々あって、その一つの手法を堪能した気がした。

ま、後味が残る映画が苦手の人は観ない方がいいでしょう。