「嫌われ松子の一生」

平日で映画の日って事で劇場へ。甘かった、混んでた…。
でも、まあ変な席でも、あまり苦にならず観れたので良かったが。
この映画、評判は良いのかな?って、はてなの感想読んだら、案の定絶賛ですな。
結論から言うと、久々に、生理的に受け付けない映画を観た。
いや、この映画を絶賛するのは、頭では理解出来る。映画館で泣いている女子もたくさん観た。隣の相方も泣いていた。いや、理解も出来るし、評価も出来る。しかし、俺にはダメだった。
例えば、かぼちゃとセロリは食材としては、良い物だ。それは、解かってる。評判のレストランで、フルコースを作って貰って、料理の見栄えも素晴らしい。しかし、俺には美味しく感じられない。そんな感じ。
まあ、豚足のフルコースは、俺にとっては、最上級のご馳走だが、有り難く無い人も多いだろうから、勘弁してつかーさい。




以下は、ネタバレ含みます。また、この映画に好感を持った人は、読まないで下さい。




観終わった後「どっかで、同じ構図のモン観たなー」とずっと思っていたが、その場では思い出せず。後になって、映画では無くマンガだと気づいた。あー、竹易てあしの「おひっこし」の後半のヤツだった。数奇な運命を辿るって話。でも、アレは全編コメディとしてやっているので、重い感じは無いが、この映画は、変に「泣かせよう」としているのに、違和感が。
「不幸な女の一生」って、悪いがこれはいわゆる物語の中で言う「不幸」なのか?
内容は理解出来るのだが、はっきり言って同意は出来ない。ただ、これはストーリーテリングに対するベクトルの違いなので、「好きか嫌いか」なので、同意する人の意識も理解出来る。
ただ、「不幸」と「葛藤」は共存なのに、「葛藤」が存在しない「不幸」は、物語なり得るのか?「葛藤」を凌駕しようとしない主人公は、主人公足り得るのか?という、疑問が残った。いや、「葛藤」の排除が目的なのかも知れないが、だとしたらラスト近くの「泣かせ」や主人公への肯定の演出が、俺には受け入れられないものだった。
また、最も重要な「心情的葛藤の解決」を、そのままセリフにしているのが、一番ダメだった。それをやると、映像作品の意味ないだろ、と。小説なら良いのだろうが…。
つまり、ダメ男に靡く自分に対し「一人ぼっちよりはマシ」と呟くのだが、まあいわゆる「それをセリフで言わしちゃダメ」ってヤツですよ。それは、演出で消化させないとさ。
下妻物語」は、ベースはかなり軽い話だ。軽い話だから、軽い話なのかと言われればそうではない。それが、あの作品の魅力だ。重い話を、軽い話として描くのは、間違っていないが、中途半端にやると…。まあ、そういう事だった。
後、最後に、主人公は金属バットによって殺されるが、これも嫌だった。殺傷道具以外で人を殺す時は、その意味付けと理由付けが欲しいな。野球人としては、記号として使われた金属バットが可哀相だった。