「観察 永遠に君をみつめて」

もう10年以上前になるけど、友人から依頼されて書いたシナリオは、女の子が好意を寄せている男を盗聴するって話だったんだけど、これは覗きの話。そんな事もあって借りて観た。
40年にわたって、一人の女性を見つめてたって話なんだけど、それってストーカーだよなって思いながら、ちょっと引き気味で観たんだけど、いや良い映画だったよこれ。主演は小沢仁志の弟とケケケラの女房。そりゃあ話題にはならないよな。地味な配役だ。でも緒川たまきは好きな女優です。千葉佐那子は俺の中では緒川たまきなんだよな。


朴訥というより、ちょっと頭の弱い感じに見えるよ小沢和義。まあ、いうても覗きなんでフツー犯罪行為なんですけどね。江口のり子は相変わらず良い女優だけれども、それだけじゃあ引っ張れないし、何となく男の痛々しい感じがして途中ちょっとつらくなったんだけどね。


いやしかし、ここからがこの映画の本編だった。ここからがスゲー。
以下はネタバレありなので、未見でちょっとでもこの映画に興味を持った人は、観てから読んで欲しい。


全然前情報は無かったのだが、この映画は二部制になっていて、前半は小沢和義演じる茂樹のパート。後半は緒川たまき演じる弥生のパートととなる。
前半のパートは、弥生の娘知世から弥生の日記が送られてくる所で終わるのだが、観客には知世は子供のイメージのままなんだけど、ここで時間を少し飛ばしている。何故、知世から弥生の日記が送られてくるのか、そのフックをもって弥生パートは始まる。

弥生は子供の頃からもう茂樹に覗かれている事を知っていて、引っ越した後にもずっと茂樹が追いかけて来ているのを知っていた。そして、それを受け入れていたというのが明かされる。

yahooのレビューを読んでも、総じて評価高いね。ただ、女性の方がこのお互いの気持ちが解らないって感想が多かったな。いや解る。これはやっぱ、男の妄想っていうか願望だよね。

「方向が解らない男」「距離が解らない女」のまあファンタジーだよね。結局、緒川たまきが受け入れているから成立する関係だけどね。
まあ、細かいところは突っ込みどころあるし、普通に江口のり子と息子は可哀想だし、光石研が病気で死んでしまうとかいろいろ言いたいとこはあるけど、男の勝手な思い込み(つうか犯罪だし)が、受け入れられる(喜びになってる)ってのは、まあ理想だよね。
まあ、普通に声かけてモーションかけろよ。意味わかんねぇって突っ込みはなしで。40年に渡るってのもまあ肝なんだけど、大人パートはあんまり時間の流れが感じられないよね。そこは勿体無い。

でも、この映画の緒川たまきはスゲーはまってたな。やっぱ映画は女優だね。後半は小沢和義の出番は殆ど無いので、緒川たまきに引っ張られて最後まで行けますな。ラストの写真の後ろに光が映っているシーンで鳥肌立ちました。


本当にどこに何が転がってるか解らないな〜。