「恋におちたら〜僕の成功の秘密」

最終回の手前の回。連続ドラマで言えば、もっとも勝負の回だったが、なかなかの出来栄えだったと思う。構成はオーソドックスだったが、オーソドックスも突き詰めれば退屈にはならないし、また脚本のよい部分と演出の力が纏まっていたと思う。
今回の話は、前回社長を追われた草なぎ剛演じる鈴木島男が、周りのみんなに背中を押され復活する話。ただの人情話だとここでも終われるのだが、この話では最後に倒さなければならない敵がいるので、それは最終回に。敵の巨大さを、また力無い者の小ささを表現するのに六本木ヒルズを象徴にしているのは、映像的には圧倒感があるね。こういう時だけ、バカみたいにすごい建物を建てる人に感謝するよ。

さて今回の良かった所は、高柳徹(堤真一)・桐野七海(和久井映見)と、草なぎ君・白川かおり(松下奈緒)の関係の対比が見事だった。
前回は高柳が再起する話だったが、七海は高柳の事を心から信じていて、高柳の心にもズカズカ入っていって励ますのだが、かおりはそうは出来ない。だから、最後に島男が今までかおりの優しさを突っぱねてきた事を謝罪する時に、確信を得られて無かったので安堵した表情になる。この心理描写の差異が、よく表現出来ていたと思った。
これは脚本だけでなく、演出ひいては女優の演技でよく表現出来ていたと思う。
結局、最後に島男の背中を強く押すのは和久井映見になる。自分に対して優しさを与えてくれた人の言葉や行動ではなく、他人のために自分を利用しようとする人の言葉が自分を動かすのだが、これも構成としては良く出来ていたと思った*1

*1:もちろんそれまでの積み重ねがあってのことだけど