「復讐者に憐れみを」

オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」に並ぶ、パク・チャヌク監督の「復讐三部作」の第一弾をやっと観た。ちなみに他の二作は劇場で観たな。

まあ、やっぱりkai1964(http://d.hatena.ne.jp/Kai1964/20100121/1264079851)さんのブログ解説が素晴らしいので、ネタバレですが内容の詳細についてはこちらを読んでもらうことにして(良いのか、こんな他力本願で・・・)、感想を一つ。いや、この映画のペ・ドゥナが一番可愛いだろ!まあ、犬を飼ってた時代に借りてきて5分で観るのを止めた「ほえる犬は噛まない」と「子猫にお願い」は観てないけど・・・。
何となく異端的な雰囲気の役が多い気がしてたが、この映画のペ・ドゥナは正統的なヒロイン扱いされてたよ。まあショートが好きってのもあるかもだけど・・・。ちょっと勝気な性格の女の子を魅力的に、そしてドラマを動かす人物として演じてたと思う。
そして、手話をしながらのSEXシーン。ああ、これはやられたよ。昔、聴覚障害者の話書いた時に、そういうシーン入れた事があったんだけど、映像でやったのを初めて観た。やられた。そして、俺が書いたと同じように○○位だった。ああ監督と脚本家と、そこのシーンのことを語るだけで酒が飲みたいよ。胸も出して頑張ってたね。ああ、ありがとうございます、ペ・ドゥナ様 m( _ _ )m。って、ペ・ドゥナのおっぱいに感謝してばっかりのブログだな。数少ない拙ブログの読者が愛想を尽かさないように、下に真面目な感想を書いておこう。




以下、軽くネタバレあり。未見の人は注意。




始めの僅かな綻びが「嫌っー!」って感じで転がり始める。ムズムズするが、ここら辺は映画の醍醐味だね。「志村、後ろ後ろっ!」って感じで誘拐した社長の娘が溺れ死ぬところで最高潮に。って思ったら、いやまだまだ行くぜっ。
決して悪人ではない人間(臓器売買親子は悪人だけど)が、自らの負の感情に支配されて堕ちていく。誰が悪いわけではない(そりゃ誘拐はダメだけど)のに、復讐がまた復讐を呼んで行くって構成を畳み掛けるように見せていく。それも淡々と。


ただ、主人公の聴覚障害に関しては、娘が溺れ死ぬシーンの為だけの設定に陥ってた気がして必然性は感じられなかった。それは結構なマイナスポイント。ラジオとかの為の小道具としての使い方にしかなってなかった。それだけで、もっと掘り下げられる設定だけに気を使って欲しかった気が。
ペ・ドゥナの反社会性も「何でだろ?」って思わせたけど、ラストで納得。ただ、アレは凄く救いなラストの気がした。復讐を遂げたソン・ガンホ先輩*1は復讐の螺旋から抜けたけど、実際は抜けた後の方が地獄だよな〜と思ってたら、ザクザクやられるけど、そうなった方が幸せなんだよな。引きずって生きるより。「ソマリア」のラストの方が残酷だよ。
しかし、奴らの登場には結構笑った。ラストのペ・ドゥナのモノローグは必要ないよ。あれは説明すぎる。しかし、あまりに記号的。何だ、タバコは反体制の象徴か!?


娘の解剖には嘔吐するガンホ先輩が、姉の解剖の時はあくびをする。こういう細かい人間の残忍性を出すのは良いね。しかし、娘とかいたら直視出来ないシーンだな。


観終わって、スッキリとはしないけど、澱のように心に何かが溜まる。それって、つまりは良い映画ってことだね。

*1:殺人の追憶」の特典映像見れば解かるけど、向こうは何かと「〜先輩」を言いまくる