「世界の会戦―こう戦えば勝てた」 柘植久慶

[書籍]で引いてみたら2件しかヒットしなかった。いや、もっと読んでるはずだ。イカン、イカン。

この人の本で、特に面白かったのは「ヒトラーの戦場」だ。
「戦後書かれたヒトラーに関する書籍や文献は、戦勝国側からしか描いてなく、歪曲されたものばかりだ。ヒトラーを狂人だったり、矮小な人物だったということにして全てをまとめ様としているが、だったら何故当時のドイツ国民六千万人は彼に従ったのか。そんな事は有り得ない」というスタンスで書かれている。

そう、忘れてはいけないのはヒトラーは政権を通常選挙で獲得したということだ。ナポレオンの例を取るまでもなく、多くの征服者はその政権奪取を、ある種の軍主導の内戦や政権政党の内部人事によったり、あるいはクーデターによって行っている場合が多い。
しかし、ヒトラーは自分が入党した時にたった7人しかいなかったナチスを、通常選挙政権政党にまで持って行っているのだ。
本の中で、「1938年までのヒトラー」は世界の中でも最も有能な指導者の1人だった。と書かれている。つまりは、その後の失敗によりその功績までを全否定するのはいかがなものか。という主張なのだが、それは仕方ないのではと思ってしまうがね。
ただ、肯定的な目でみるか、否定的な目でみるかで受け入り方も違ってくる。そういう意味では、否定的な目でしか見れない人物を、肯定的な目線で見てみることが出来るので、それはちょっと面白いですな。