「血と骨」

古沢優*1が原作のマンガ化したもので内容は読んでいた。だからこそ思う。これは間違いなく失敗作だ。
「とんでも無く屈強な親父の、とんでも無く無茶苦茶な人生」っていうのがまあメインストーリーなのだが、肝心なその描写が省かれていて、しかも役者がたけしでは肉体的な説得力が皆無。『GO』の時も親父は無茶苦茶強くてっていう設定で、山崎努が演じたが、こちらもギリギリだった。
ともかく、マンガや小説では肉体的な説得力って描きやすいのは解るが、せめてそこは大前提なわけなので、そこをおざなりにしてしまうと、本当に意味が無い。
自伝的小説なので仕方ない部分もあるが、結局何がテーマなのか解りにくい。「父と子の物語」なのか「家族の物語」なのか「在日朝鮮人の物語」なのか「無茶苦茶な親父の物語」なのか、もう良く解らなかった。
原作でシコメとして描かれた女性を誰がやるのかと思ったら、濱田マリだった。脱いでもいたのでビックリ。愛人役の中村優子という女優がちょっといい味出してた。他も結構良い役者が出ていたが、殆ど生かされず。松重豊北村一輝柏原崇などは勿体無いお化けが出そうな使い方。


「破天荒な男」を描いた映画で、一番印象に残っている映画は『タイ・カッブ』だ。メジャー・リーグでも屈指の名選手の引退後の姿を描いた映画だが、これを他の野球映画と同じようにテープを回すと火傷することは請け合いだ。
ゴーストライターが、自伝を書くために*2引退後のカッブと共に過ごすのだが、観ているこちらも途中から、トミー・リー・ジョーンズタイ・カッブであることなど忘れて、ただこのキチ○イ親父に振り回されるのだ。そして、最後にゴーストライターが選んだ自伝が、存在するあの自伝になったというところで締めくくられるのだが、まさに納得だ。
『ベーブ』とかとビデオ屋で並んで置いてあるが、絶対にコーナーが違う!!と思わせる一品だ。

*1:赤菱のイレブンとを思い浮かべた人は、真性レッズファンですな

*2:この自伝は本当に存在する