「サマリア」

例によって、Kai1964さんのブログ(http://d.hatena.ne.jp/Kai1964/20100223/1266909363)で紹介されていた『サマリア』を観る。
いや、もう、なんすか・・・。この観終わった後にずっしり来る感じは・・・。内容や解釈やらは、kai1964さんの文章が凄すぎるので、そちらを読んでもらうとして(観終わった後にね)、神話的というか、聖書的というか、「原罪と赦し」という事をまあ考えさせられるね。


まあ、簡単に一言でこの映画を説明すると「援助交際していた2人の女子高生とその家族の悲劇」って話なんだけど、とにかく脚本の削ぎ落としの凄さだね。心情や理由、人物の背景すら描かれない。奇異な「赦し」の行動に移り出すが、その行動こそが人間の深淵の高みにまで到達してしまったかのような錯覚を起こさせる。しかし、それこそが人間の「原罪」であることをまざまざと見せ付けられるのだ。
ラスト近くはセリフすら殆ど無い。何を知り得て、何を知り得ていないのかの説明も無い。全ては行間から読み出すしかない。でも、だからこそ映画と共鳴できるんだな。いや、勉強勉強。
題名は「善きサマリア人」の故事からの引用だと思うが、キリスト教感の燻りだしは『シークレット・サンシャイン』でもそうだったけれど、韓国映画的っていうか、韓国の心風景なんだろうな。


初め阿部サダヲにしか見えない方の女の子が、途中綾瀬はるか小島聖を足して2で割ったみたいな慈悲顔の女の子が乗り移ったかの様な「女」の表情を見せるとことか、娘もいない俺ですら何か胸が締め付けられたりするのは何でだろ。


いやー、ウィークデイに観るもんじゃないよ。こういうのは金曜日の夜とかに観るべきものだったな。
しかし、パッケージとか、キャッチ画とかで百合的な青春映画とか思って行っちゃったヤツはいないんかね。「花とアリス」みたいな感覚で。そういうヤツは映画館で悶死しただろうな。